棒針編みを始めてしばらく経った頃、僕がずっと憧れていたのが、アラン模様の入った縄編みセーターでした。太い縄のような模様がいくつも編み地の上を這っていて、遠目に見るだけで「よほど編み物が得意じゃないと作れなさそう」という威圧感があります。実際、最初は「表編みと裏編みしかできない自分には一生縁がなさそうな模様だ」と思っていました。
でも、ケーブル編み(縄編み、英語では cable knitting)の正体を知ってみると、実は使う編み方は表編みと裏編みだけで、そこに「目の順番を入れ替える」というひと手間が加わっているだけだとわかりました。難しそうに見える模様ほど、種明かしをするとシンプルな仕組みでできていることが多い——そこがケーブル編みの面白いところだと思います。
この記事では、ケーブル編みを「覚える順番」で紹介する海外の動画・チュートリアルを3つ選びました。1つ目で基本のクロスの動きを覚え、2つ目でスローモーション映像を見ながら手元をじっくり確認し、3つ目で模様のバリエーションに挑戦する——という流れで進めると、無理なくステップアップできます。英語の動画に出てくる用語もあわせてミニ辞典にまとめたので、参考にしてください。
なぜケーブル編みは見た目より簡単なのか
ケーブル編みが「見た目ほど難しくない」と言われるのには、こんな理由があります。
- 使う基本の編み方は表編みと裏編みだけ。模様のためだけに新しい編み方を覚える必要はない
- 「クロス」は、目の順番を一時的に入れ替えているだけ。ケーブル針(または専用の針を使わない方法)で数目を休ませておき、あとから編む順番を変えているにすぎない
- 模様の繰り返しがはっきりしているので、1回コツをつかめば、あとは同じ動作の繰り返しになる
まずは基本のクロスがどんな動きなのか、実際の動画で確認してみましょう。
海外動画を見る前に|ケーブル編みの英語用語ミニ辞典
ケーブル編みの海外動画では、次の用語がよく出てきます。知っておくと、英語がわからなくても編み進められます。
| 英語 | 日本語 |
|---|---|
| Cable | ケーブル(縄編み模様。複数の目を交差させて作る立体的な模様) |
| Cable needle(cn) | ケーブル針・なわあみ針(目を一時的に休ませておく短い針) |
| Cross | クロス(目を交差させること) |
| C4B(Cable 4 Back) | 右上4目交差(4目のうち半分を編み地の後ろで休ませてから交差) |
| C4F(Cable 4 Front) | 左上4目交差(4目のうち半分を編み地の手前で休ませてから交差) |
| Hold to back / front | (休ませた目を)編み地の後ろ/手前に置く |
| Aran | アラン模様(アイルランド・アラン諸島発祥の縄編み模様) |
| Twist | ツイスト(ケーブルより小さい単位の、軽いひねり・交差) |
⚠️ 数字の意味に注意
「C4B」「C4F」の数字は、交差に使う目の合計数を表します。C4Bなら4目(2目ずつ入れ替える)、C6Fなら6目(3目ずつ入れ替える)というように、数字が大きいほど太い縄模様になります。動画の概要欄や編み図の指示で見かけたら、目安として覚えておくと安心です。
初心者におすすめのケーブル編み動画3選|覚える順番で紹介
1. Nimble Needles(ニンブル・ニードルズ)— まずは基本のクロスから

オーストリア・ウィーン在住のNorman Schwarzeさんが運営する、編み物歴35年以上のベテランによるブログ&YouTubeチャンネルです。月間45万人超の読者が訪れる人気サイトで、「How to Knit the Cable Stitch」というページには、タイトルに「for beginners」と明記されたケーブル編み入門コンテンツがまとまっています。基本の右クロス(C4B)・左クロス(C4F)から、2目ずつ・3目ずつのケーブル、さらにケーブル針を使わない編み方まで、大きな写真と動画のステップバイステップで解説されています。
日本語ワンポイント:ページ内の「C4B」「C4F」が、それぞれ右クロス・左クロスにあたります。まずはこのページで、クロスそのものの動きを覚えるのがおすすめです。
- 編めるもの:基本のケーブル編み(右クロス・左クロス、2×2・3×3ケーブル)
- こんな人に:ケーブル編みを今日から始めたい、まったくの初心者
👉 Nimble Needles「How to Knit the Cable Stitch」を見る
2. VeryPink Knits(ベリーピンク・ニッツ)— スローモーションで手元をじっくり確認

アメリカ・テキサス州オースティン在住のStaci Perryさんが運営するチャンネルです。YouTube登録者50万人超、公開動画800本超という編み物系チャンネルの中でも屈指のボリュームを誇ります。「Knitting Help – Slow Motion Cables」というページでは、その名の通りケーブルの基本テクニックをスローモーションで実演していて、針の動きを1コマずつ確認できます。
日本語ワンポイント:このページに「beginner」という表記はありません。①のNimble Needlesで基本の流れをひととおり覚えたあと、「あの目の入れ替え、実際はどんな速さ・角度でやっているんだろう」と手元の動きをもう一度確認したいときに見ると、理解がぐっと深まります。
- 編めるもの:ケーブル編みの基本テクニック(スローモーション解説)
- こんな人に:文字や写真だけでなく、手元の動きをゆっくり確認したい人
👉 VeryPink Knits「Knitting Help – Slow Motion Cables」を見る
3. Studio Knit(スタジオ・ニット)— 慣れてきたら模様のバリエーションに(※サイト表記は中級)

アメリカ・カリフォルニア州在住のKristen McDonnellさんが運営するチャンネルです。「Sand Cable Stitch」というパターンのチュートリアルでは、6目を使った右クロス・左クロスを組み合わせた模様編みが、動画つきで解説されています。このパターン、サイト上の難易度表記は「Intermediate(中級)」です(2024年更新版で確認)。基本の右クロス・左クロスの動きに慣れてから挑戦する、次の一歩として紹介します。
日本語ワンポイント:「中級」という表記にひるまなくても大丈夫です。①②の動画で基本のクロスの動きを覚えていれば、Sand Cable Stitchも「同じ動きの繰り返し」であることがわかるはずです。最初は目数の少ない試し編みから始めるのがおすすめです。
- 編めるもの:Sand Cable Stitch(6目のクロスを使った模様編み)
- こんな人に:基本のクロスに慣れて、模様のバリエーションに挑戦したい人(サイト表記:中級)
👉 Studio Knit「Sand Cable Stitch」を見る
きれいに編むためのワンポイント
ケーブル編みをきれいに仕上げるコツは、次の3つです。
- ケーブル針は目を落とさず一時的に休ませるための道具。針の太さは使っている棒針と同じか、少し細めのものを選ぶと目が動かしやすい
- ケーブル模様の部分は編み地が詰まりやすいので、普段よりゲージがきつくなっていないかを時々編み地を広げて確認する
- 模様の境目(表編みと裏編みが切り替わる部分)は目を落としやすいので、段の途中で目数を数えるクセをつけておくと安心
ケーブル編みにそろえる道具
ケーブル編みは、いつもの棒針セットとケーブル針(または両先が使える棒針)があれば始められます。模様の凹凸がよく見えるように、単色でしっかりした撚りのウール毛糸を選ぶのもおすすめです。
- 棒針セット:号数違いがまとまったセットなら、試し編みのゲージ合わせにも便利です
- 輪針セット:アラン模様のセーターなど、大きな作品に進むときにあると安心です
- 並太ウール毛糸:ケーブル模様の凹凸がきれいに出やすい、ハリのある毛糸です
棒針の号数選びは棒針・かぎ針の選び方|初心者のための号数と素材ガイド、道具全般は編み物超初心者が最初に揃えるべき道具5選、毛糸選びは編み物を始める前に知っておきたい毛糸の基本もあわせてご覧ください。
まとめ
| 動画 | 編めるもの | こんな人に |
|---|---|---|
| Nimble Needles | 基本のケーブル編み(右クロス・左クロス) | ケーブル編みを今日から始めたい人 |
| VeryPink Knits | ケーブルの基本テクニック(スローモーション) | 手元の動きをゆっくり確認したい人 |
| Studio Knit | Sand Cable Stitch(6目のクロス模様・中級) | 基本に慣れて模様に挑戦したい人 |
ケーブル編みは、表編み・裏編みと目の入れ替えさえ覚えれば、見た目ほど難しくありません。①で基本のクロスを覚えて、②でスローモーション映像を見ながら手元を確認し、慣れてきたら③のようなバリエーションに挑戦してみてください。アラン模様のセーターに挑戦したくなったら、海外動画で編む、初心者向けのセーター・プルオーバー|おすすめ動画3選もあわせてどうぞ。
ほかのおすすめチャンネルは英語がわからなくても大丈夫|海外の編み物YouTuberおすすめ3選で、英語の用語で迷ったときは編み物の英語パターン入門|棒針・かぎ針の用語&略語早見表で確認できます。

