編み物で「セーターのパーツは編み終わったのに、脇をどうつなげばいいかわからない」「靴下のつま先の閉じ方がよくわからない」と手が止まった経験、僕にもあります。編み地そのものはきれいにできても、最後につなぐ「とじ・はぎ」でつまずく人は多いのではないでしょうか。
この記事では、編み物の仕上げに欠かせない「とじ」と「はぎ」の基本と、代表的な2つの技法――すくいとじとメリヤスはぎの使い分けを、初心者向けにわかりやすく解説します。
とじとはぎ、何が違う?
「とじ」と「はぎ」は、どちらも編み終わったパーツ同士をつなぎ合わせて作品を完成させる仕上げの工程を指す言葉です。日本の編み物では、大まかに次のように使い分けられることが多いです。
- とじ:段と段をつなぐ。脇線など縦方向のライン
- はぎ:目と目をつなぐ。肩線など横方向のライン
どちらも「編み地を縫い合わせる」という意味では同じですが、つなぐ目の向きが違うぶん、使う技法も変わってきます。この記事では、その代表格である「すくいとじ」と「メリヤスはぎ」を順番に見ていきます。
すくいとじ|脇の縦ラインをつなぐ定番技法
すくいとじは、英語では mattress stitch と呼ばれる技法です。編み地の表側から、隣り合う段の渡り糸を1段ずつすくいながらつないでいきます。セーターの脇や袖下など、縦方向のラインをつなぐときによく使われる技法です。
僕が最初にすくいとじをやったとき驚いたのが、正しくできると縫い目がほとんど見えなくなることです。表からすくうので糸が編み地の間に隠れて、まるで最初から輪に編んだかのような仕上がりになります。逆にすくう場所を間違えると縫い目が目立ってしまうので、慣れるまでは編み地をよく見ながら進めるのがおすすめです。
こんな場面で使う
- セーターの脇や袖下をつなぎたいとき
- ベストやカーディガンの脇線を仕上げたいとき
- 縦方向のラインをできるだけ目立たせたくないとき
メリヤスはぎ|目と目をつなげて編み地に見せる技法
メリヤスはぎは、英語では Kitchener stitch(グラフト、grafting)と呼ばれる技法です。とじ針で目と目を1目ずつ縫いつなぎ、まるで編み目がそのまま続いているように見せるのが特徴です。靴下のつま先の閉じ方や、セーターの肩はぎの定番として使われています。
すくいとじが「編み地の縦ラインを横から縫い合わせる」イメージなのに対して、メリヤスはぎは「まだつながっていない目同士を、編み目に見えるようつなぐ」感覚に近く、最初は戸惑う人が多い技法だと思います。僕も初めて靴下のつま先をメリヤスはぎで閉じたときは、手順を何度も見返しながら恐る恐る針を動かしました。
こんな場面で使う
- 靴下のつま先を閉じたいとき
- セーターやベストの肩線をつなぎたいとき
- 編み目が連続しているように見せたいとき
使う道具|毛糸とじ針
とじ・はぎに使うのは毛糸とじ針です。最初に揃える道具5選でも紹介しているとおり、編み物を始めるときに揃えておきたい基本の道具のひとつで、先端が丸く編み地の糸を割らずに通せるようになっています。
とじ・はぎに使う糸は、基本的に編んだ作品と同じ糸を使うのが基本です。作り目や伏せ止めのときに残しておいた糸端があればそれを使い、足りない場合は同じ毛糸から必要な長さを別に取っておきます。色や太さが編み地とぴったり合っていることで、縫い目が馴染んで目立ちにくくなります。
初心者がつまずきやすいポイント
とじ・はぎは慣れるまで手こずりやすい工程ですが、いくつかのコツを押さえておくと失敗が減ります。
- 明るい場所で作業する:目が詰まった編み地は、薄暗いと拾うべき糸や目を見失いやすいです
- 編み地と同じ糸を使う:色・太さを揃えることで縫い目が目立ちにくくなります
- 引き加減は編み地と同じテンションに:きつく引きすぎると突っ張り、緩すぎると隙間が空いてしまいます
ただ、糸の通し方や具体的な手順そのものは、文章だけで正確に伝えるのが難しい工程でもあります。無理に文章の説明だけで進めようとせず、図解や動画を見ながら実際に手を動かして確認するのが、結局いちばんの近道だと感じています。
つなぎ終わったあとに出る糸端の始末には、手芸用のはさみが活躍します。
とじ・はぎを避けるという選択肢も
とじ・はぎは慣れると仕上がりの幅が広がる工程ですが、「まだ苦手意識がある」という人は、最初からとじ・はぎの少ない編み方を選ぶのも一つの方法です。輪に編んだり、トップダウンのラグランで肩から続けて編んだりすれば、つなぎ合わせる工程そのものを減らせます。
初心者向けセーター動画3選で紹介している動画は、とじ・はぎのないラグランを上から編む方法が主流です。とはいえ、とじ・はぎ自体は覚えておくと役立つ技術でもあるので、まずは練習としてヘアバンド・イヤーウォーマー動画3選のように、平らに編んで両端をつなぐだけの作品から慣れていくのもおすすめです。
まとめ
| 技法 | つなぐ向き | 使う場面 | 仕上がり |
|---|---|---|---|
| すくいとじ(mattress stitch) | 縦(段と段) | 脇・袖下など | 縫い目がほぼ見えない |
| メリヤスはぎ(Kitchener stitch) | 横(目と目) | 靴下のつま先・肩線など | 編み目が続いているように見える |
とじ・はぎは、編み物の仕上がりを大きく左右する工程です。最初はとまどうと思いますが、編み物のゲージとはと同じように、一度基本を押さえてしまえば作品の完成度がぐっと上がります。焦らず、自分のペースで練習してみてください。

